はいいろのうさぎ

ある日灰色のうさぎくんはママに聞きました。

「ねぇ、ママ?どうしてぼくはまっしろじゃないの?」

うさぎくんのママはやさしく微笑みました。

「ぼうやはこの色がきらい?」
「きらいだよ。だってみんながいうんだ。 おまえはなかまじゃない、あっちにいけって!」
「…」
「みんなはきれいなまっしろなのに、どうしてぼくはこんなきたないいろなの?」

うさぎくんは大きな涙を流しました。
それを見て、うさぎくんのママはぎゅっとうさぎくんを抱きしめました。

「ぼうやの色はとってもきれいよ?」
「え?」
「あのね、みんなには個性っていうものがあるのよ。
お空より高いところにいる神様がね、ぼうやにはまっしろじゃなくてこの色がとってもお似合いだったからこれにしてくれたのよ?」
「かみさま…?」
「そうよ。ぼうやにはこの色がいちばんお似合いなの。 だからみんなと一緒じゃダメなの。わかる?」

うさぎくんのママはうさぎくんをやさしく撫でました。

「みんなと同じまっしろだったら、わからなくなるでしょ? それが個性なのよ」
「こせい…?」
「この色は世界でひとつ、ぼうやだけの色よ」

ママにそう云われたうさぎくんは、にこっと笑いました。

「ぼく、みんなにいわれたらいってやる!
これはかみさまがくれたぼくだけのプレゼントだって!」
「ぼうやったら…」

その日から臆病者のうさぎくんは、灰色の自分が大好きになりました。

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